学術書・ビジネス書や古典を選ぶ際、「読書大全」(堀内勉/日経BP)を参考にすることを強くおすすめします。本書の利点や活用方法についてご紹介します。
「読書大全」の概要と重要ポイント
「読書ガイド」「名著の紹介」のような記事や本をよく見かけます。その多くは、著者の視野が狭かったり、学問的に信頼性が低くて、安心して頼れません。
その中で、私が最近で唯一信用できると思っている読書ガイド本が、「読書大全」(堀内勉/日経BP)です。
※参考:特集記事(日経BP)はこちら
本書の特徴は次のとおりです。
- 冒頭で、学問の体系のその歴史の説明に100ページ近く割いている。これが書籍紹介の理解の助けになる。
- 古典的名著を中心に、200冊が紹介されている(300冊のリストがあり、そのうち200冊は書評を掲載)。
- 著者は、大手金融機関等での重要な仕事を歴任し、読書経験を仕事に活かしている。バックグラウンドが信頼できる。
- 経済、歴史、哲学、自然科学などの分野のバランスがとれている。
<読むだけで勉強にもなる>
本書を通読するだけでも、学問体系や「古典」に関する知識を整理できます。
私自身かつては、経済・政治・哲学・宗教についての学問体系の知識が不十分でしたが、本書を読んで、古典の書籍と書籍の間の関連性、時代を超えた繋がりの理解が深まりました。
また、各書評のページの隅に、「参考図書」として、関連書籍が紹介されています。ここから読むべき本を探ることもできます。
このように、本書を通じて「どんな本を読むべきか」を考えること自体が、下手な一般書籍を読むよりも勉強になります。
また新たに読みたい本も増えるでしょう。
ただし、本書は以下の点に注意が必要だと感じました。
- 科学技術に関する書籍の紹介が少ない。古典を重視しているため、最近の科学技術の進歩をカバーしていない。
- 経済書の紹介で、SDGsと関連させた説明が目立つ。市場経済を過信すべきではない、という著者の考えが反映されている印象を受ける。
「読書大全」に掲載されている書籍
本書では、安心して読める名著が厳選されているため、ここから気になる本を読めば、大きな間違いはないと言えます。
書評が掲載されている200冊のリストは、こちらの 日経BPのサイトの記事の末尾の目次に書かれています。
こちらに記載があります。
このリストを参照するだけでも有益です。内訳としては、目次を見て数えた限り次のとおりです(合計すると 200冊になります)。
- 資本主義/経済/経営:46冊
- 宗教/哲学/思想:48冊
- 国家/政治/社会:25冊
- 歴史/文明/人類:21冊
- 自然/科学:28冊
- 人生/教育/芸術:18冊
- 日本論:14冊
本書の巻末に、年表の形で全300冊のリストがあり、そのうち本書内で書評を紹介した200冊には “○” の印が書かれてあります(ただしwebでは、300冊のリストは見当たりません)。
まとめ
「読書大全」は、本選びだけでなく、学問体系の知識の整理にも役立ちます。私は本書を常に手元に置いていて、次に読むべき本を考えるのも楽しくなりました。古典的名著が多く、一生に一度は読むべき本と言える本が多く含まれます。
読書好きの人には、一度目を通してみることをおすすめしたいです。
