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洋書を読むべき理由と注意点 ― 読書と英語学習の観点から

洋書を読むべき理由

「洋書を読もう」とよく言われます。しかし、誰でも無条件に洋書をたくさん読めば良いものでしょうか。

洋書を一冊でも完読できれば自信になります。ただ、中途半端にダラダラと読むだけでは、時間と労力の無駄になります。どちらも私は経験してきました。

この記事では、洋書を読む利点と注意事項について、まとめてみます。

目次

洋書を読む利点

洋書を読む利点として、「読書の一形態として」「英語学習の一環で」の2つの側面から考えてみましょう。

読書として洋書を読む

翻訳書のデメリット

読書だけが目的であれば、洋書の原書ではなく翻訳書で十分と考える人も多いと思います。しかし、翻訳書に頼るのは、「翻訳者のフィルター」「翻訳の質の懸念」「読みたい本の翻訳書が無い」という点が問題になります。順に見ていきます。

<翻訳者のフィルター>

翻訳書は、訳者が自らの主観で選んだ言葉で書かれたものです。著者の真意や微妙なニュアンスは、どうしても伝わりにくくなります。言語が違うのだから、どうしようもありませんが。

例えば、翻訳書で読みにくく感じた箇所を、原書で確認すると「なんだ、こんなことか」とすんなり理解できる場合もあります。

逆に、日本語オリジナルの記事や小説の「英訳」を読んでみると、フィルターを通してボケたような違和感を感じることがあるでしょう。翻訳のフィルターにより「解像度」が下がるのです。

<翻訳の質の懸念>

著名な古典の翻訳書が、複数の出版社から出ていることもあります。これらを読み比べると、翻訳のクオリティに大きな差があることに気づきます。

誤訳が紛れている可能性もあります。

誤訳ではなくても、日本語として不自然で、読みにくい翻訳書は非常に多いです。ストレスを感じながら日本語を読むくらいなら、原書を英語で読むほうが楽かもしれません。

私がこれまで読んだ翻訳書で、特に読みにくかったのは、「羊たちの沈黙」(新潮文庫)でした。ただ、その後「新訳」が出たようで、読みやすくなったのかもしれませんが。

<読みたい本の翻訳書が無い>

マニアックな本は、売上が見込まれないと日本語に翻訳されません。ビジネスですから当然です。

また、翻訳に長い時間を要する場合も多いです。英語のオリジナルの発行後、日本後の翻訳が出るまで、何年もかかる場合もあります。

そのため翻訳書に頼っていると読みたい本をすぐに読めないのです。

以上の3点が、翻訳書に頼る読書のデメリットです。洋書を読むことで、これらをクリアできます。

注意事項

ただし、読書を目的として洋書を読む場合、気をつけたいことがあります。言うまでもなく、われわれの母語の日本語ではなく英語になるため、内容が深く理解できない読むのに時間がかかる、という点です。英語力とのバランスの話になります。これについては後で触れます。

英語学習のために洋書を読む

英語力向上には英文の多読が必須です。その英文の素材として洋書は極めて有効です。

洋書は「まとまった分量がある」「内容的に興味が持続できる」という点に価値があります。これらはモチベーション維持に寄与するものです。また完読すれば「英文読解力がついた」という自信にもなります。

ここで一つ注意したいのは、多読の素材として、1冊の洋書だけをずっと読み続けるのは避けるべきということです。

同じ本だけ読み続けると、どうしても著者の英文の文体のクセや、語彙の偏りが生じるためです。

雑誌の英文記事など、他の英文教材の多読も並行して行うことを忘れないでください。

読書と英語学習のバランス

読書が好き・英語学習も好きで、両方やりたいけど時間が足りないという人は、「洋書を読む」が、一石二鳥で、解決策になりそうに見えますね。しかし現実はそう簡単に行きません。

ここで次の問題を考えてみましょう。10時間の時間で、読書と英語学習をする場合を例とします。

(A) 1冊の洋書を10時間かけて読む。

(B) 同じ本の日本語版を4時間で読んで、浮いた6時間で英語の勉強をする。

(A)と(B)のどちらのほうが、「読書+英語学習」として多くの価値を得られるでしょうか。

ポイントは、難解すぎる洋書の場合、読むのに時間がかかり、理解も不十分になることです。

つまり、あなた自身の英語力によって得られる効果が変わるのです。

(A)のように洋書の読書のみで効果を得るには、「より深く理解できる本」「より早く読める本」を選ぶことが重要となります。それが無理なら、(B)のように翻訳書を読んで、浮いた時間で別の英語学習をしたほうが効率的です。

このことを頭に入れて、洋書を選んで読めば、効果と効率が期待できます。

まとめ

洋書を読むことは、読書の一形態としても英語学習としても有益です。自分の英語力に見合った本を選んで読むことが重要です。

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