ビジネス書・学術書を選ぶ際、参考にすべき情報について考えてみます。
また、おすすめしたい本として「読書大全」(堀内勉/日経BP)の活用についてご紹介します。
ビジネス書・学術書の選び方
本選びは誰の意見を聞くべきか
私はこれまで多くの実用書を読んできました。「時間の無駄だった」と思う駄本・悪書も多くありました。
その経験から、自分の直感を過信せず、信頼できる専門家の見解や読書ガイド等を参考にしたほうが良いと考えます。
基本的には、複数の専門家・有識者の共通見解は、正しい可能性が高いです。特に、学問または組織のビジネスの経歴がしっかりしている人の意見が参加になります。
<どのような文献を参考にすべきか>
専門家・有識者が書いた読書ガイド的な書籍は、間違いが少ないです。
ただし、古い書籍になると、最新の情報がカバーされないことが懸念されます。
これを補完するには、雑誌の特集記事などを参考にすれば良いでしょう。東洋経済などの経済誌では、定期的に読書の特集が組まれます。ただし記事の質にバラツキがあるので注意しましょう。
また、名著の多くは「古典」であるため、最新の書籍の情報は、それほど気にする必要もないでしょう。
ビジネス書の売上ランキングは参考になるのか
「ビジネス書」「自己啓発書」に関する人気ランキング・売上ランキングもよく目にします。これらは、参考にしないほうが良いと私は考えています。
というのも、ランキング上位の本の多くは、万人受けする本です。専門性が低いため付加価値が低いのです。
また、ランキング上位の本は、一時的に宣伝効果により売れているだけ、という可能性もあるので注意してください。
ここで、「ビジネス書」のカテゴリーについて、注意してほしいことがあります。「ビジネス書」には、万人向けの本と、専門性の高い本があります。読む価値があるのは専門性が高いビジネス書のみです。
また専門家が長年支持しているようなロングセラーの本ならば、安心感があります。
「読書大全」(堀内勉/日経BP)の活用
「読書大全」概要・重要ポイント
以上の本選びの考え方を前提としたとき、特に読書ガイドとしておすすめしたい書籍は、「読書大全」(堀内勉/日経BP)です。
※参考:特集記事(日経BP)はこちら
本書の特徴は次のとおりです。
- 冒頭で、学問の体系のその歴史の説明に100ページ近く割いている。これが書籍紹介の理解の助けになる。
- 古典的名著を中心に、200冊が紹介されている(リストに300冊、書評は200冊)。
- 著者は、大手金融機関等での重要な仕事を歴任し、読書経験を仕事に活かしている。バックグラウンドが信頼できる。
- 経済、歴史、哲学、自然科学などの分野のバランスがとれている。
本書を通読するだけでも、学問体系や「古典」に関する知識を整理できます。
私自身かつては、経済・政治・哲学・宗教についての学問体系の知識が不十分でした。本書を読んで、古典の書籍と書籍の間の関連性、時代を超えた繋がりがイメージできるようになりました。
下手な一般書籍を読むよりも勉強になったという実感があります。新たに読みたい本も増えました。
ただし、本書は以下の点に注意が必要だと感じました。
- 科学技術に関する書籍の紹介が少ない。古典を重視しているため、最近の科学技術の進歩をカバーしていない。
- 経済書の紹介で、SDGsと関連させた説明が目立つ。市場経済を過信すべきではない、という著者の考えが反映されている印象を受ける。
「読書大全」の書籍リスト
「読書大全」で紹介されている本は、安心して読める名著ばかりと考えて良いです。
書評が掲載されている200冊のリストは、こちらの 日経BPのサイトの記事の末尾の目次に書かれています。
こちらに記載があります。
これを見るだけでも価値があるでしょう。内訳としては、目次を見て数えた限り次のとおりです(合計すると 200冊になります)。
- 資本主義/経済/経営:46冊
- 宗教/哲学/思想:48冊
- 国家/政治/社会:25冊
- 歴史/文明/人類:21冊
- 自然/科学:28冊
- 人生/教育/芸術:18冊
- 日本論:14冊
本書の巻末に、年表の形で、全300冊のリストがあり、そのうち本書内で書評を紹介した200冊には “○” の印が書いてあります(webでは、300冊のリストは見当たりません)。
まとめ
キャリアのための幅広い勉強、例えば英語力向上に必要な背景知識を身につけるには、良書を選んで読むことが不可欠です。ビジネス書や学術系の書籍を選ぶ際は、信頼できる専門家や書籍が共通して勧める本を選べば、失敗が少ないと考えられます。
特に、「読書大全」は、本選びだけでなく、学問体系の知識の整理にも役立ちます。参考にしてみてください。
