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収入は読書量に比例するというウソ

読書とキャリア収入

読書量を増やすとキャリアアップや年収アップに繋がる、という話をよく聞きます。果たして本当でしょうか?

ここでは、読書量とキャリアや収入との相関関係・因果関係について、調査結果を参考にしながら考察します。

目次

読書量と年収との相関関係はあるが因果関係は不明確

まず結論から。

読書量と年収には相関があります。しかし、因果関係は不明確です。

順に説明します。

<読書量と収入の相関>

「収入が多い人は読書量も多い」という調査結果は複数あります。

最近のデータとして、こちらの記事を参照してください。

→ 参考記事(mynavi.jp) :「「読書量が多いと年収は高い」は本当か~過去調査との2時点比較で見る傾向~

この記事では、例えば、2021年の調査結果として、「1ヶ月に3冊以上」本を読む人の割合として、

年収300-500万: 13.7%

年収500-700万: 16.6%

年収700-1000万: 21.4%

年収1000-1500万: 15.9%

年収1500万以上: 30.8%

のようなデータが紹介されています。

「読書量」「収入」の間に、正の相関があると言えそうです。(詳しい分析は、統計学の専門家に委ねたいところです…)

<因果関係と相関関係は別>

しかし、上記の記事では読書量と収入の「因果関係」については明確に説明されていません。

他にも世の中の記事・論文等で、読書量と収入の因果関係を説明する文献を探してみましたが、見つかりません。

「読書量が多い」→「収入が多くなる」という因果関係が成立するとは断定できないのが実態でしょう。

逆に、「収入が多い」→「読書量が増える」という因果関係も分からないと言えます。

一般に、A、Bの間に相関関係があるとしても、因果関係は不明です。多くの場合、第三の因子(C)があり、「C →A」 と 「C→B」 が起こる場合、A, Bの間に相関関係が見られる、ということが多いです。これを A→B(またはB→A)の因果関係があると誤解されがちです。いわゆる疑似相関です。

本件の場合も、例えば仮に、

「知的水準が高い」→「好奇心旺盛」→「読書量が多い」

「知的水準が高い」→「スキルが高い」→「収入が多い」

が成立するとしたら、「読書量が多い」「収入が多い」の間に相関が生じることになります。

この場合、ただ単に読書量を増やしても収入は増えません。

収入を増やしたければ、知的水準を高め、スキルを高めることが必要となります。

実際には、さらに様々な要因が複雑に関連し合うはずです。

キャリアアップ・収入増につながる読書とは

とはいえ、間接的には、読書の「質」「量」が、キャリアアップ・収入増に影響する場合があることは容易に想像できます。

論理的に考えてみましょう。

収入増のためには、

(1) 仕事で成果を出し、評価される(昇給)

(2) 給与の高い仕事に就く(就職・転職)

のどちらかしかありません。

これらに結びつくための読書が必要となります。

私の経験上、昇給や就職・転職に有利になるという観点では、次のような読書が必要となるはず、と考えます。

キャリア・収入につながる読書:

  • ビジネス・技術等の実務に必要な知識を得る読書(→ 仕事への直接的な効果)
  • 思考力を飛躍的に高める読書 (→ 仕事への直接・間接の効果)
  • 教養を深化させる読書 (→ 仕事への間接的な効果、人脈など)

いずれも、専門性の高い本、高度な知見に繋がる本を読むことに相当します。読書というより「勉強」に近いかもしれません。

当然ながら、簡単なビジネス書や自己啓発本ばかり読んでいても、効果はありません。

「どんな本でも、読書さえすれば収入が上がる」というのは誤りです。

私がこれまで仕事で経験したことを振り返っても、読書がキャリアや収入にプラスに影響したという実感はあります。それは、専門書・学術書と格闘した経験が大きかったように思います。

キャリアに役立つ読書に関しては、当サイト内の「読書」のカテゴリーの記事もご参照ください。

まとめ

読書量と収入には正の相関はありますが、直接的な因果関係は不明確です。また、当然ながら、読む本の種類や難度が、キャリアップや収入に影響することは間違いありません。読書なら何でも良い、とは考えないでください。

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