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科学技術系の読書をサボる弊害

文芸やビジネス書を好んで読む人は、自然科学や技術に関する本を避けていませんか。

かく言う私も、研究開発職でありながら、人文・社会科学の本を多く読むので、自然科学や技術の本ももっと読まねばと反省しているくらいです。一般の人ならなおさらと想像しています。

自然科学系の知見が欠けると、日常生活や仕事で、致命的な誤解や判断ミスを犯すリスクが高まります。教養にも偏りが生じます。

この記事では、自然科学系の読書不足による影響を整理した上で、本の選び方についてご紹介します。

自然科学・技術系の読書をしないとどうなるか

理系的な分野の読書が欠如すると、大きく分けて以下の3つの問題が起こると考えます。

1: 実社会の正確な理解・正しい対処ができなくなる

近年は、環境エネルギーや新型コロナウィルスなど、社会に多大な影響を及ぼす問題で、科学技術が大きく関わっています。これらの問題に関して、メディアでトンチンカンな意見を述べる人や、エセ科学・陰謀論に基づくデマもよく見かけます。科学のリテラシーが無い人は、こうしたウソ情報に惑わされがちです。反ワクチン、過剰な反原発のような人たちがその典型です。

2: 仕事やキャリアの幅が狭くなる

私の周囲でも、ここ数年は、AI・機械学習・データサイエンスが分からないと仕事にならない、というケースが増えています。数学や物理センスを磨いたり、科学的な知識をアップデートしていないと、世の中の新しい技術に適応できなくなります。つまり、できる仕事の選択肢が狭くなるのです。キャリア形成の面でも不利になります。

3: 偏った浅い教養レベルにとどまる

教養を積みたい人の多くは、人文科学や社会科学だけを勉強します。しかしこれでは、世の中の「表層」しか分かりません。例えば、人間の営みの本質を探るには、宗教や政治経済をいくら勉強しても不十分で、究極的には人間の「物理的な特性」つまり医学や生命科学のミクロの視点で理解する必要があります。また、文明社会や企業経営などの議論には、常に「科学技術」「技術革新」が関連してきます。だから科学技術の素養が無いと、人文・社会科学の学問分野を深く理解できません。

科学系の本の選び方

雑誌の特集記事は参考になります。例えば、Newton(ニュートン) 2021年 9月号では、「科学 名著図鑑」として、必読の科学書100冊が紹介されています。私が読んだ本も多く取り上げられています。まずここから興味ある分野の本を読んでみてはどうでしょうか。

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また科学への苦手意識がある人は、気楽に読める本から始めるのも良いでしょう。講談社のブルーバックスシリーズは、読みやすくて質の良い本が揃っています。

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教養としての科学史を知るためには、科学系の古典も読んでおきたいです。「読書大全」(日経BP)には、科学系の本が、古典を中心に28冊紹介されています。下記の記事も参考にしてみてください ↓


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